「三びきのやぎのがらがらどん」(福音館)
北欧民話 マーシャ・ブラウン絵 せた ていじ訳
アメリカの絵本作家マーシャ・ブラウンさんの忘れられない思い出があります。
もう30年も前の話ですが、来日された彼女の講演を聞きに行ったことがあります。
当時。友人たちと絵本の会を作り、お話会やら勉強会やらと自宅を解放して楽しくやっていました。その会の名前は「がらがらどん」と言いました。
海を隔てた街にマーシャブラウンさんが来られるとのことで、友人たちと出かけました。
なぜか夫くんもいました。
講演会も終わった帰りに、夫くんがボソッと言いました。
「マーシャ・ブラウン、怒っていたね!」
「えー、なんで?」とrosieさんが問うと、こういうことだったらしい。(英語の聞き取りが満足にできない私たちにはわからなかったこと)
マーシャ・ブラウンは講演の始まりに一番前の座席に座っている主催者の皆様に向かって、
と、言ったそうです。
でも通訳の人は、主催者に遠慮してそのことを通訳しなかったのだと。
当時の主催者の方々は既に子育ては終わった年代。でも子どもたちへ、本を手渡したいという活動をされていた方々でした。
この言葉は衝撃でした。見事に核心を突いていましたから。
当時、私たちは子育ての真っ盛り。
そういう時期だからこそ、マーシャ・ブラウンの話を聞きたかったのです。
主催者の方々も熱心な方達であればこそ、マーシャ・ブラウンをお呼びしたのでしょう。
でも彼女の話をまず聞いて、
新米ママが子どもたちに毎日絵本を読んであげるようになることこそが、
マーシャ・ブラウンが絵本を作った、そもそもの願いなのだと思いました。
先日、夫くんも
「あの時のマーシャ・ブラウンの言葉は忘れられない。いまだに心に残る言葉だなあ。」
と言っていました。
残念ながら、肝っ玉の小さな通訳さんのおかげで、大半の聞き手には伝わらなかった言葉ですが。。。
rosieさんは、引っ越す前には保育士資格を生かして、保育園に5年ほどパート勤務をしました。
若い保育士さんたちが多い中で、
まず自分のやるべきことは何か?
と考え、子育て中の保育士さんたちが「自分の子どものお母さんをする時間」をこそ、ヘルプすべきだと考え、延長保育(7時まで)の時間帯を引き受けました。
それと、特技を生かした手作りおもちゃ作りなど。
慣れない人は、ミシンの調子を合わせるだけでも大変だから。(もちろん、技術を身につけることは大切ですが、今の保育士さんたちは超多忙なんです。)
裏方として、
どう動けば、若い保育士さんたちが気持ちよく保育できるのか?
と考えていました。そのパターンは喜んでもらえたようでした。
マーシャ・ブラウンさん、
あの時のあなたの言葉は今も私の心に残っています。
「今、私がすべきことは何か?」と考えること。
世の中、大切なことはたくさんあるけれど、「今、すべきこと」の判断は大事なこと。
だから、あの時のあなたの静かな怒りは忘れられないのです。
チョキン、パチン、ストン。 はなしは おしまい。
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