『アンナの戦争』を読む

rosieの図書室

「キンダートランスポート」の少女の話

『アンナの戦争』 ヘレン・ピーターズ著 尾崎愛子訳 (偕成社)

知らなかったんです。第2次世界大戦当時、ドイツに住んでいたユダヤ人の子どもたちをナチの被害から守るために、「キンダートランスポート(子どもの輸送)」という救援活動が始まり、イギリスへ子どもだけが移り住んだこと。

まだ幼い子どもたちが親と離れて、言葉も習慣も違う国へ一人で。イギリス政府はユダヤ人の子どもに限り、ビザなしでの入国を許可。民間の救援団体が受け入れ家庭を用意したそうです。

作者は言います。「難民になるのは運の問題。悪い時に悪い場所に居合わせれば誰もが難民になる。」と。ウクライナもそう・・・

ユダヤ人のアンナは12歳、ナチスの迫害が強くなるにしたがって、両親はせめて娘だけでも国外へと考えます。父の最後の言葉は「何が起きても、パパの明るく勇敢な娘でいるんだよ」と送り出します。父の切なる願いが胸を打ちます。

途中、アンナはバスケットに入った赤ちゃんを列車の窓から母親らしき人から預かります。その子もどうなったか?読んでみて下さい。

やがて両親はナチスの強制収容所で亡くなります。ドイツの街で3代続いた出版社を経営していたのに。ドイツ人だったのに・・・

イギリス側もナチスの上陸を恐れる日々。ナチのスパイを見つけたアンナは賢く、勇気ある行動をとっていきます。その展開はハラハラドキドキ、アンナの勇気と共にくらす子どもたちとのチームワークはナチのスパイを発見。やがてチャーチル首相が登場。ナチスと戦い、連合軍は勝ちます。

昨年発行のおもしろい本です。図書館にあるかなあ?こちらの図書館になぜかなかったので、rosieさんはメルカリで手に入れました。

「キンダートランスポート」という言葉を知っただけでも成果です。「疎開」というものも日本にもありましたが。それは同じ日本人の間でのこと。国を超えての疎開があったとは・・・

やはり、戦争体験者の話は大切ですね。

では みなさま ごきげんよう。

 

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